おむすび権米衛

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食文化と健康のこと

お米は太らない

一人当たりのお米の年間消費量のピークは、大正末期の142.8kgで、玄米で計算すると150kg※。これは、尺貫法の単位で「1石」にあたります。1石は、成人1人が年間に食べるお米の量にほぼ等しいとみなされていました。ところが、現在では1石の3分の1ほどの約50kgにまで落ち込んでいます。単純計算すると、1日に食べるお米の量が3合から1合に減ったことになります。

1日3食のうち3食ともお米を食べるという人は減っています。代わりに食べられるようになったのは、輸入小麦を使ったパンやパスタ。そして肉や乳製品の消費量も増えています。そうした「食の欧米化」によって生活習慣病患者の増加が指摘されています。パンを選ぶとバターやベーコンやサラダなど食事は油脂類の多い洋食になりがち。一方で、ごはんを選ぶと豆腐や焼魚やおひたしなど食事は油脂類の少ない和食になりやすくなります。つまり、おかずを決めるのは主食です。日本で脈々と食べつながれてきたお米を中心とした伝統的な食生活を取り戻すことで、おのずと健康にもつながってゆくのです。

また、お米は小麦が原料のパンと違って粒状で食べるため、ゆっくりと消化されていきます。そのために腹持ちが良いことや、水分が多く胃袋の充実感があることで「パンよりも太る」と誤解されがち。しかし、お米は炭水化物をはじめ、タンパク質やビタミン、ミネラルなどを多く含むバランスの良い食材で、水だけで調理できるクリーンなエネルギー源です。また、腹持ちが良いので間食が少なくなるという利点もあります。そして、お米の炭水化物は脂質に比べてエネルギーとして消費されやすいことが分かっているほか、特におむすびのように冷めたごはんは温かいごはんに比べて血糖値が上がりにくく、脂肪の蓄積も抑えられると言われています。

※農林省(現:農林水産省)「食料需給に関する基礎統計」

白米の魅力と玄米の魅力

おむすび権米衛では創業時から玄米のおむすびも提供しています。玄米は糠層があることで白米に比べて噛みごたえがあるため、食べづらいと感じる方もいます。また、玄米で食べると自然と咀嚼回数が増え、少量で満腹感と満足感が得られやすく、白米よりは量が食べられないという方は多いのではないでしょうか。

私たちはお米の消費拡大を目指しているため、たくさん食べやすい白米をおすすめしたい思いもあります。しかし、糠層には、ビタミン、ミネラル、植物性脂肪、食物繊維などが含まれているため、玄米は白米に比べて栄養が豊富。玄米を水に長時間浸けておくと発芽することから分かるように、玄米は種です。玄米を食べることは「一物全体(いちぶつぜんたい)」と言って、お米の命を丸ごと食べることでもあるのです。私たちはそうした玄米の良さにも目を向けてもらい、その味わい深さを体験していただくために、独自の炊き方で食べやすい状態でお届けしています。
一方で、白米には食べやすさと消化のしやすさという利点があります。そして、玄米ほどの含有量ではなくても、健康維持に欠かせないビタミンやミネラルを幅広く含んでいます。

私たちは白米のおいしさも玄米のおいしさも大切にしています。栄養素にばかり目を向けすぎず、白米も玄米もお好みやその日の気分で楽しみながらお選びいただくことが心身の健康につながると思っています。

日本の気候風土や食文化に適した穀物

日本の地形は平地が少なく川が急峻です。先人たちは大雨による洪水、夏場の渇水に悩まされてきました。そこで、堰や土手や水路を造り、田んぼという「治水」「用水」「食料生産」の装置を作り上げてきたのです。

そして、春先の気温の低さや鳥害などから苗を守り、生産性を上げるために、苗をある程度の大きさまで育ててから田んぼに移植する「田植え」という技術が生まれました。また、小麦などの畑の作物は同じ場所で作り続けると「連作障害」が起こりますが、田んぼでは水が入れ替わることで土壌環境が変わるため、稲を同じ場所で作り続けても連作障害は起きません。日本は国土面積の70%近くを森林が占めていて平野が狭いため、小麦よりも生産性の高い稲のほうが適していたのです。「一粒万倍」という言葉があるように、一粒の種籾からは穂の頭が垂れるほどのお米が実ります。水田稲作は地形を作り、文化を作り、命をつないできました。まさにイネは「命(イのち)の根っこ(ネっこ)」です。

また、年間平均降水量が世界平均の2倍近くという豊富な水は稲作を発達させただけでなく、ミネラルが少なくまろやかな水(軟水)であることが炊飯の文化を発達させました。そして、ごはんと味噌汁を中心とした日本の食文化を作り上げたのも、やはりお米。現代はタンパク質と脂質が多くなりがちな時代ですが、かつてはお米と塩だけではタンパク質と脂質が不足しがちでした。そこで、大豆と麹と塩で作る保存食の味噌が生まれ、ごはんと味噌汁の組み合わせが定着しました。また、お米を主食に大豆や野菜や魚などを組み合わせた日本型食生活は、タンパク質、脂質、炭水化物のバランスが良く、理想的だと言われています。私たちはおむすびを単体で見るのではなく、おむすび(お米)を中心とした食文化全体を見据えています。だからこそ、おむすびや惣菜や味噌汁等のメニューでは、「季節感」「郷土感」を大切にしています。

お米そのものを楽しむ

お米を食べる際に白飯そのものを楽しむスタイルは日本独自の食文化です。海外では、お米にスープやソースやスパイスや油脂類を入れて調理するのが主流。日本のように水だけで炊飯する国は少ないようです。たとえ水だけで調理した白飯でも、おかずやソースをのせたりかけたりするなど、日本のようにおかずと白飯を別々に食べて「口中調味」する文化は極めてめずらしいようです。

口中調味とは、ごはんやおかずを交互に食べて噛みながら口の中で味を混ぜ合わせる方法ですが、ごはんと具が一緒にまとまったおむすびでも私たちは無意識に口中調味をしています。たとえば、一口目にごはんと具を一緒に食べて具の塩味が勝っている場合、二口目にごはんだけを食べて口の中の塩味のバランスを調整する、これも立派な口中調味です。近年は海外でおむすびが人気の国もありますが、日本のように白飯そのものを塩むすびで楽しむ文化は基本的にはありません。

また、海外では冷めたごはんを「ひもじい」と嫌厭する国もあります。水だけで炊飯した粘りの強いごはんを冷めてから楽しむおむすびは、日本の文化がぎゅっと詰まった独自の食べ方なのです。

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